R8 労基1-1|均等待遇の「差別的取扱い」
問題
労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を不利に取り扱うことをいい、有利に取り扱うことは含まれない。
この肢は正しいでしょうか、誤りでしょうか。
判定
誤りです。本問が「誤っているもの」を問うため、肢Aが正答となる見込みです。
解説
労基法3条の「差別的取扱い」には、不利な取扱いだけでなく、有利な取扱いも含まれます。したがって、「有利に取り扱うことは含まれない」とする肢Aは誤りです。
労働基準法3条は、労働者の国籍・信条・社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをすることを禁止しています。
行政解釈では、「差別的取扱い」は不利に扱う場合に限られず、特定の属性を理由に有利に扱う場合も含まれると整理されています。保護される属性によって労働条件を振り分けること自体が問題であり、優遇の対象から外れた労働者には相対的な不利益が生じます。そのため、「優遇だから許される」とは判断しません。
国籍・信条・社会的身分を理由とする
賃金、労働時間その他の労働条件の取扱い
賃金、労働時間その他の労働条件の取扱い
取扱いの内容
不利な取扱い
有利な取扱い
いずれも含まれます
差別的取扱いとして禁止されます。
有利な取扱いだけを例外とはしません。
有利な取扱いだけを例外とはしません。
例えば、女性だけに、結婚を理由として退職する場合の退職金を割り増す制度を考えます。行政解釈上、この取扱いは有利な取扱いの例として示されています。金額だけを見れば女性への優遇に見えますが、女性に結婚退職を選ばせる経済的な誘因となり得ます。女性は退職するものだという固定的な役割分担を制度で後押しし、働き続ける選択を狭めかねないためです。なお、この例は性別を理由とする賃金差別を扱う労基法4条の文脈で示される例です。肢Aは3条の問題ですが、「差別的取扱い」に有利な取扱いも含むという点を理解するための例として記載しています。
女性であり、結婚を理由に退職する場合に退職金を割り増す
一見して有利に見えますが
女性に結婚退職を選ばせる経済的な誘因になり得ます。性別を理由に労働条件を分けています。
したがって
有利な取扱いであっても、差別的取扱いとして許されません。
根拠
- 労働基準法3条(e-Gov法令検索):禁止の対象となる理由と対象事項を確認できます。
- 東京都「働く女性と労働法」:昭和22年9月13日発基第17号等を挙げ、「不利」だけでなく「有利」な取扱いも含むと整理し、女性だけの結婚退職金の割増しを例示しています。
復習ポイント
- 条文上の理由は「国籍・信条・社会的身分」の3つです。
- 差別的取扱いは「不利な扱いだけ」と限定しません。
- 女性だけの結婚退職金の割増しは労基法4条の例です。3条と4条の保護理由は区別して確認します。
解き直し
労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を不利に取り扱うことをいい、有利に取り扱うことは含まれない。
もう一度、正しい・誤りを選んでください。
判定:誤りです。
労基法3条の「差別的取扱い」には、不利な取扱いだけでなく、有利な取扱いも含まれます。したがって、「有利に取り扱うことは含まれない」とする肢Aは誤りです。