R8 労基3-E|直接払いと代理受領
問題
労働基準法第24条第1項に定める直接払の原則に違反して、使用者が労働者の代理人に賃金を支払った場合でも、代理受領者が労働者本人に賃金全額を渡したときには、当該労働者が現実に利益を得た限度で民事上有効な弁済となり、その限度で使用者は二重払に応ずる必要はなく、同条違反の刑事責任を免れる。
この肢は正しいでしょうか、誤りでしょうか。
判定
誤りです。民事上の弁済の効力と、労基法24条違反の刑事責任は分けて考えます。
解説
代理人への支払は直接払いの原則に反します。労働者本人に賃金が渡った場合、民法479条により、その利益を受けた限度では民事上の弁済の効力が認められ、使用者が同じ額を再び支払う必要はありません。
しかし、民事上の効力が生じても、使用者が本人でなく代理人へ支払ったという労基法24条1項違反自体は消えません。したがって、同条違反の刑事責任まで免れるとする部分が誤りです。
例えば、本人から委任を受けた家族に会社が賃金を渡し、家族が全額を本人へ渡したとしても、会社は本人への直接払いをしなかったことになります。
会社 → 代理人 → 労働者本人
本人が受け取った額:民事上は弁済の効力あり
会社が代理人へ払った行為:直接払いの原則違反
本人が受け取った額:民事上は弁済の効力あり
会社が代理人へ払った行為:直接払いの原則違反
根拠
- 労働基準法24条・120条(厚生労働省):賃金の直接払いと、その違反に対する罰則を定めています。
- 賃金の額や支払方法などは、労基法等で規制がありますか?(厚生労働省):代理人への支払が許されないことを説明しています。
- 民法479条(e-Gov法令検索):受領権者以外への弁済は、債権者が利益を受けた限度で効力を有すると定めています。
復習ポイント
- 直接払いは、労働者本人に支払う原則です。
- 民事上の弁済の効力と、労基法上の罰則は別に判断します。
解き直し
労働基準法第24条第1項に定める直接払の原則に違反して、使用者が労働者の代理人に賃金を支払った場合でも、代理受領者が労働者本人に賃金全額を渡したときには、当該労働者が現実に利益を得た限度で民事上有効な弁済となり、その限度で使用者は二重払に応ずる必要はなく、同条違反の刑事責任を免れる。
もう一度、正しい・誤りを選んでください。
判定:誤りです。
本人の利益の限度で民事上の効力があっても、直接払いの原則違反は残ります。