R8 労基2-ウ|前借金と賃金の相殺
問題
労働基準法第17条は、使用者の側で行う前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金の相殺を禁止しており、実質的にみて使用者の強制によるものと認められない限り、労働者が自己の意思によって相殺をすることは禁止されていない。
この肢は正しいでしょうか、誤りでしょうか。
判定
正しいです。問2全体の正答は、他の肢の判定をそろえてから確認します。
解説
労基法17条が禁止するのは、使用者が前借金などを賃金と相殺することです。労働者が自らの自由な意思で相殺することまで、一律に禁止する規定ではありません。したがって肢ウは正しいです。
この規定は、使用者から借りたお金を理由に、労働者が辞めたくても辞められない状態になることを防ぐためのものです。前貸しの原因、期間、金額などからみて、実質的に使用者が賃金から回収する仕組みであれば、形式上は同意があっても問題になります。反対に、労働者が個別に自由な意思で返済に充てる場合は、使用者による相殺とは区別します。
例えば、採用時に使用者が支度金を貸し、「毎月の賃金から当然に差し引く」と決めておくことは認められません。一方で、労働者が返済方法を自ら選び、自由な意思で賃金からの充当を申し出た場合には、その意思が使用者の強制ではないかを事情に即して確認します。
使用者が相殺する労働を条件に前貸しし、賃金から回収する。
確認すること労働者の自由な意思か、実質的な強制がないか。
労働者が自ら相殺する使用者の強制ではない自己の意思による充当。
使用者による相殺は禁止されます。労働者の自己意思による相殺は、その自由さを確かめて判断します。
根拠
- 労働基準法17条(厚生労働省):使用者による、労働を条件とする前貸しの債権と賃金との相殺を禁止しています。
- 貸付金を賃金と相殺することは可能でしょうか?(厚生労働省):貸付けが身分的拘束を伴うかは、原因・期間・金額などを総合して判断すると説明しています。
- 賃金と他の債権の相殺(厚生労働省):自由な意思に基づく同意かどうかを客観的事情から判断する考え方を示しています。
復習ポイント
- 労基法17条の主語は使用者です。
- 禁止の対象は、労働することを条件とする前貸しと賃金の相殺です。
- 労働者自身の意思による充当でも、実質的な強制がないかを確認します。
解き直し
労働基準法第17条は、使用者の側で行う前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金の相殺を禁止しており、実質的にみて使用者の強制によるものと認められない限り、労働者が自己の意思によって相殺をすることは禁止されていない。
もう一度、正しい・誤りを選んでください。
判定:正しいです。
使用者による相殺は禁止されますが、使用者の強制ではない労働者自身の意思による相殺まで禁止する規定ではありません。